長野県の松本市は「ガク都」と呼ばれています。
この「ガク」には三つの意味が込められていて、
山岳の「岳」、音楽の「楽」、学問の「学」を象徴しています。
松本で音楽といえば、
サイトウ・キネン・フェスティバル
(2015年より『セイジ・オザワ 松本フェスティバル』に名称変更)
を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、これだけが松本の音楽の全てではありません。
実は、今なお世界に影響を与えている人物が松本にいたのです。
その人物とは、鈴木鎮一先生。
現代の音楽教育で使われているスズキ・メソードを発案しました。
館内には、鈴木先生が世界各地で受賞した様々な賞が
ずらりと並んでいます。
受賞歴があまりに凄すぎたので、取材当時、圧倒されてました。
それがどれくらいすごいのかは、想像が及ばないくらいです。
写真右上にはアインシュタイン博士の名前が…。
では、世界中に普及したスズキ・メソードとは、
一体どのようなものなのでしょうか?
インターネットが普及している現在、
情報は手っ取り早く入手することが可能です。
どのようなものであれ、比較的簡単に知ることができる反面、
自分の身体の感覚を使って得ているものではないため、
実感に乏しいという欠点があります。
自分の身体を使って得たものというのは、
デジタルでは決して得ることのできないものがあるのです。
そのため、受ける時期が早ければ早いほど、上達も容易になると言えます。
また、聴覚刺激が記憶力にも関わるので、
音楽を学ぶことは、必然的に学問にも役に立つのではないでしょうか。
あの将棋の羽生名人もスズキ・メソードを学んでいたことがあるぐらいです。
教育は、家庭の環境を考えることも重要だと教えていただきました。
こちらの写真は、鈴木先生が使っていた書斎です。
この部屋でいろいろ思索に耽っていたのではないでしょうか。
鈴木先生自身は、どうやって音楽を学んだのでしょう。
当時、音楽の中心地であったドイツに留学しています。
鈴木先生も斎藤先生も、日本に西洋音楽をもたらした先駆者だったのです。
また、鈴木先生はアインシュタイン博士とも交流がありました。
バイオリンを弾くアインシュタイン博士の写真が残されています。
館内では、先生の著作を読んだり、音楽を鑑賞するためのスペースも。
また展示ホールでは、コンサートが開かれることもあるので、
ホームページをチェックしておきたいところです。
現在の鈴木鎮一記念館とは、
鈴木先生の実家がそのまま松本市に寄贈されたものです。
館内は、実際に使われていた当時そのままの姿となっています。
偉大な先駆者がこの場所で、どのような活動をしていたのだろうと、
想像が膨らみます。
そんな鈴木鎮一記念館には、どのような人が訪れるのでしょう。
遠路はるばるやってくることに、
先生の影響力が伺えるのではないでしょうか。
松本でサイトウ・キネン・フェスティバルなどの
音楽活動が続けられています。
その活動は実に20年を越えました。
根底に音楽を愛している心があればこそ、
継続を可能にしているのです。
鈴木鎮一記念館では年に一度の一大イベントとも言える
サマースクールを行っています。
全国各地、海外も含めて集まるその人数は、
付き添いの人数も含めてなんと3000人です。
7月の終わりから8月の頭に行なう4泊5日の集中講座で、
朝から晩までみっちり練習できる環境が整っています。
曲目ごとにグループレッスンをしたり、
夜にはプロのコンサートも開かれるなど、
充実した内容を提供しています。
これから音楽を志そうとという方も、
そうでないという方であっても、
ぜひ偉大な先駆者に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
※取材日:2017年3月20日