街並みとは、時代と共に移り変わっていくもの。
それに伴い、建物は時期が来るとやはり取り壊されてしまうものです。
そして、時間が経てばいつかは忘れてしまうかもしれません。
松本市はこのような「昔の姿」が保存されている街でもあります。
松本市歴史の里は松本インターのすぐ近くにあり、県外や海外の方がよく来られるそう。
見学ができるのは、江戸時代の後期から昭和までに建てられた5棟の建物です。
・旧長野地方裁判所松本支部庁舎
・旧松本少年刑務所独居舎房
・旧昭和興業製糸場
・工女宿宝来屋
・木下尚江生家
これらは、もちろん外観を眺めるだけでなく中に入ることもできます。
このうちの幾つかを紹介します。
松本市歴史の里に入って真っ先に飛び込んでくるのが、
旧長野地方裁判所松本支部庁舎。
現代の裁判と明治の裁判が著しく違うということが、
視覚的に理解できます。
録音による明治憲法下での裁判を実際に体験したり、
当時の裁判官の法服を着ることも可能です。
日本で初めて憲法を作った人物は聖徳太子です。
まさか、このようなところでもでてくるとは驚きですね。
明治時代の日本と言えば、軽工業の製糸業が盛んに行われていました。
旧昭和興業製糸場では、当時の工場でどのように働いていたのかがわかります。
現代の仕事と比べた場合、やるべきことはシンプルかと思われます。
しかし、手作業に求められる精度が極めて高いのではないでしょうか。
右手で繭をほぐしながら、左手でこの座繰を回して糸を絡めていくのだそう。
回してみると意外と重く、しかも同時進行の手作業になります。
座繰りを回してみただけなのですが、それでも難しい作業なのではと感じました。
こちらは、岐阜県高山市と長野県松本市を結ぶ野麦峠にあった旅人宿の宝来屋です。
10代の若い工女が、長野県の岡谷市などにある工場まで行く途中に利用されていました。
宿内には、野麦街道の道程を示した地図が展示されています。
松本市から乗鞍岳や野麦峠スキー場に行く場合、野麦街道を通ることになります。
道中に残されている当時の痕跡にも注目してみたいですね。
松本市歴史の里では、体験講座も用意。
はた織り、草木染め、みすず細工などの講座の様子が展示・休憩棟に展示されています。
中でも、みすず細工は松本の特産品の一つです。
材料であるすず竹が入手しにくくなっていることもあって、
現在では販売しているところが少ない貴重品となっています。
みすず細工講座は、約3時間でコースターを作るというもの。
講座に申し込んで挑戦してみるのもおもしろそうです。
観覧する際の受付の横には、おみやげコーナーがあります。
草木染めなど体験講座で作れる品々も販売されているので、
記念に選んでみてはいかがでしょうか。
最後に観光客の方へのメッセージをお伺いしました。
また、隣の敷地には財団法人の日本浮世絵博物館もあります。
一緒に訪れてみてはいかがでしょうか。
※取材日:2017年3月22日